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姫路市議会2016年第2回定例会 本会議質問 6月10日 

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第一問の原稿です。このとおり発言しました。

1項目めは、本年4月8日に大阪高等裁判所で控訴審の判決言渡しがあったエコパークあぼし爆発事故に係る損害賠償請求訴訟についてです。この爆発事故は、2010年3月25日、網干区網干浜、エコパークあぼしで建設中であった網干健康増進センターで発生し、作業員10人が重軽傷を負い、建設半ばの建物が大きく損傷する重大事故でした。この事故に係る損害について、姫路市と新日鐵住金エンジニアリング株式会社及び株式会社神崎組が互いに争っている訴訟です。
この重大事故について、わが党議員団は事故発生直後から、大脇和代前市議を先頭に姫路市の事故責任を追及するとともにその後の安全方策に万全を期すよう求めてきました。
また、この事故で重篤な傷害を負い、生業(なりわい)を失うという大変な窮状に陥った被害者のみなさんを救援するために「被害者を支援する会」を組織するなどして、被害者のみなさんと力を合わせ救援の運動にも全力で取り組んできました。私も網干で生まれ育ち、暮らしている者として、この事故と裁判とには格別の関心を持って注目してきました。
2015年2月23日に一審の神戸地方裁判所姫路支部が下した判決は、わが党が責任追及をしてきたことと概ね同様の判決理由でした。判決の示した過失割合は姫路市に8割、神崎組に2割としました。このたびの控訴審判決も一審とほぼ同様の過失割合という判断でした。しかし、姫路市は高裁判決を不服として、上告及び上告受理の申立てをおこないました。そこで、以下2点お尋ねします。
1点目は、高裁判決を真摯に受けとめよということです。
一審、二審ともに姫路市の責任割合を概ね8割と判決しているにも係わらず、市は責任をゼロと主張しています。姫路市は当該埋め立て地を兵庫県企業庁から購入前の2003年2月に、この埋立地の埋立物を目視で確認する際に、独自に土壌調査を実施しています。調査委託を受けた業者ニッテクリサーチの報告書には「腐敗分解によるメタン、二酸化炭素、硫化水素、アンモニア等のガス発生が予想されるので、作業員の安全性(酸素欠乏など)には留意する必要がある。」と記載されています。しかし、市はその指摘を公表しませんでした。加えて、事故発生後も、この土壌調査報告書の存在を隠していたといわれても仕方がない状況もありました。姫路市が土壌調査の結果を建設事業者に伝えていなかった責任は極めて重いと指摘せざるを得ません。しかも、事故後もこの報告書の存在を公表しなかったことについて、事務引き継ぎが不十分であったことで説明しようとしましたが、市民が納得できる筈もありません。また、エコパークあぼしはPFI法に基づいて実施している事業です。しかし、このことをもって発注元の責任が免れるものではありません。
1975年、東京都江東区の廃棄物埋立地である「夢の島」でメタンガス爆発、作業員3人が死亡する事故がありました。1989年には廃棄物で埋め立て造成された大阪市の国際花と緑の博覧会会場の約100カ所のマンホールから高濃度のメタンガスが検出されることがありました。当訴訟の一審判決の事実認定に過去の事例として、埋立跡地での小爆発の事例が挙げられています。過去のこのような事故の教訓を学んでいなかったことも指摘せざるを得ません。姫路市が、今なすべきことは、高裁判決を真摯に受け止め、このような事故が今後、全国のどこでも起きないよう教訓を明確にし、全国に発信することではありませんか。ご見解をお願いします。
2点目は、上告は取り下げ、裁判にもうこれ以上の税金投入はやめよということです。上告は憲法違反、判例からの逸脱、重大な事実誤認がある場合に認められるとされています。上告及び上告受理申し立てを直ちに取り下げるべきです。一審、二審までにこの訴訟に要した経費の総額が約6,400万円。そのうち、姫路市が委任している法律事務所、この弁護士法人は関西に本部を置く法律事務所の中では最大手です。この弁護士事務所へのこれまでの支払い総額が約6,000万円となっています。神戸地裁に提訴した際、2012年3月21日の経済委員会で平成24年度に要する弁護士費用の見込み額を問われて、今後の訴えでは約500万円程度かかると考えており、予備費から支出すると答弁しています。このたび上告に当たり、当該弁護士法人と新たに交わした委任契約書には、着手金で300万円、報酬金は2,000万円を基準として協議すると表示されています。弁護士費用だけで一、二審と上告で総額8千数百万円もつぎ込もうとしている訳です。当初の約500万円程度という経済委員会への報告とは額の開きが余りにも大きいと言わざるを得ないではありませんか。もうこれ以上の弁護士費用を始めとする裁判経費の投入を市民は断じて認めないと考えます。直ちに上告を取り下げることを求めます。明確なご答弁をお願いします。

2項目めは、医療系高等教育・研究機関、新県立病院についてです。姫路駅東約700メートル、約6.6ヘクタールのキャスティ21イベントゾーンには、新文化センター、コンベンションセンターの建設が決定し、本年度に実施設計の運びとなっています。「兵庫県による姫路における県立病院のあり方に関する検討委員会」が、県立姫路循環器病センターと製鐵記念広畑病院の統合再編病院の建設適地をイベントゾーンとしています。また、「医療系高等教育・研究機関」が同じくイベントゾーンでの設置に向けて、昨年度3回、関係者で構成する懇談会が開催されました。この懇談会は姫路市から副市長と医監が委員に入っており、副市長は座長を務めていました。
まず、1点目は、医療系高等教育・研究機関について伺います。先の懇談会で示された、これらの機関設置の提案は、埼玉県に本部を置き、同県の獨協大学、栃木県の獨協医科大学、そして当市の姫路獨協大学を運営する獨協学園のからのものです。2月23日開催の第3回懇談会で、獨協学園が説明したことによりますと、高等教育機関としては姫路獨協大学の大学院研究科と学部高学年のサテライトキャンパス、獨協医科大学の大学院研究科と学部の姫路分校の設置、研究機関としては地域医療推進センター、国際内視鏡センター、再生医療センターの3研究機関を設置するとしています。併せて、強調していることは医療系高等教育研究機関には実習や臨床治験ができる併設病院が是非必要としています。懇談会での提案や意見をとりまとめ、現在、姫路市と獨協学園との間で事務レベルの詰めを進めているということです。
そこで、お伺いします。1つは、設置に向けて現在の状況はどうかということです。医療系高等教育・研究機関の設置に向けての現在の状況を、機関の設置主体はどこか、市はどういう立場に立つのか、具体的な市の関与のあり方を含めてお答えください。
2つは、国家戦略特区との関係はどうかということです。姫路市のホームページ上に獨協学園による医療系高等教育・研究機関のパワーポイントで作成された提案がPDFファイルで掲載されています。ここでの説明に「国家戦略特区構想」を活用する旨が複数回登場しています。この提案は、懇談会で提案されたものと趣旨は同一のもと思われますが、獨協学園のこの度の提案と「国家戦略特区構想」とはいかなる関係かをお答えください。
2点目は、新県立病院について伺います。
本年3月、兵庫県が進めている姫路における県立病院のあり方に関する検討委員会が県立姫路循環器病センターと製鐵記念広畑病院とを統合再編する、整備予定地はイベントゾーン(高等教育・研究エリア)がもっとも相応しいと報告しました。
検討委員会は、当初は両病院を統合再編することとしたものの、整備予定箇所は未定としていました。前述しました獨協学園提案の「医療系高等教育・研究機関」は併設病院が必要との提案をおこなっています。新県立病院はむしろこの研究機関の治験併設病院として統合再編が進められようとしているのではありませんか。そこで、お尋ねします。
1つは、市民への医療責任は果たせるのかということです。
わが党は、市民病院を持たない姫路市として、地域医療の課題を担当する役所内の体制を充実させること、たとえば、地域医療推進室の格上げと、体制強化を提案してきました。
新県立病院はリーディングホスピタルとして、若手医師の定着を目指すことも視野に、先進医療を積極的に導入することなどを計画しています。医療系高等教育・研究機関の併設病院として病院の性格が変わっていくことはないのか。市民への医療責任は果たすことができるのかお伺いします。
2つは、救急、災害、僻地、周産期、小児医療の5事業、政策医療は国及び自治体の責任で推進しなければなりません。新県立病院計画に姫路市として地域医療を守る立場から市民の意見をしっかりと県に声を上げることを求めます。
3つは、姫路市南西部地域の医療提供体制の確保をということです。仮に統合病院が市の中心部に移るとなったあと、この地域での医療空白が懸念され、市南西部住民の間では不安が大きく広がりつつあります。広畑病院のロビーには患者の不安に応えるように「当地にも引き続き医療機能が残る前提で協議を進めています。」との院長告示が掲示されています。広畑病院の跡地には、民間病院を誘致するとなっていますが、中播磨医療圏の病床再編計画との関係、急性期なのか、慢性期なのか。許可ベッド総量に余裕があるのか。市はこのような懸念にどう応え、市南西部の医療体制をどう確保していくのか。明確な答弁をお願いします。

3項目めは、パナソニック姫路工場のテレビ用液晶パネル撤退による地域経済への影響についてです。
5月31日、マスコミ各社は一斉にパナソニック姫路工場のテレビ用液晶パネルの生産から撤退すると報じました。パナソニック姫路工場の巨大な工場施設は市役所からも見ることができます。この工場は、姫路市と兵庫県とが巨額の補助金を投入し、誘致した工場です。わが党議員団は、これまで大企業呼び込みの誘致競争型政策から、中小企業振興条例や公契約条例の制定などを始めとする地元企業応援型政策への切り替えを提案してきました。特に、2010年に稼働したパナソニック姫路工場の誘致に関しては、6年間で80億円もの市税を投入予定であること、パナソニックは当時、内部留保が2兆円に達し、関西圏域では一番資力のある企業であることなど、様々な問題を指摘してまいりました。また、当初の工場立地促進条例では、雇用奨励金が非正規雇用でも交付されていたことから、非正規雇用を生み出すことへの税金の投入は問題であると指摘されました。このため、2012年4月には雇用奨励金は正規雇用に限定することに条例が改正されました。このように大企業呼び込みの誘致競争型政策に反対してきました。
そのような中、先月31日、姫路市は突然、テレビ用液晶パネルの生産打ち切りを知らされたとの報道がありました。
今後、パナソニック姫路工場テレビ用液晶パネル生産部門の撤退により地域経済にどのような影響があるのか、以下3点お尋ねします。
1点目は、姫路市は撤退にいたる経緯をどのように把握していたのか、ということです。姫路工場の稼働にあたってパナソニックは当初、約2,350億円を投資し、工場の生産能力は主力の32型液晶パネルに換算すると月産80万台以上だったとお聞きしています。しかし、尼崎市に進出したパナソニック工場は兵庫県から同様の補助金を受けながら一方的な撤退を決め、兵庫県に補助金の返還をさせられた事例があったため、姫路工場は本当に大丈夫なのか、いきなりの撤退はないのかと指摘してきたところです。姫路市は、先に述べたように、このたびのテレビ用液晶パネル生産部門の撤退に関しては突然だったと報道されていますが、稼働以降の6年間、市税を投入し奨励してきた自治体として、姫路工場の業績の現状をどのように把握し、テレビ用液晶パネル撤退に至る経緯をどのように把握していたのかお答えください。
2点目に、労働者の雇用への影響と、地域経済への影響についてです。姫路市は、パナソニックを含む、企業誘致のための奨励金交付の費用対効果を検証するために、2008年度以降の経済波及効果の調査・分析を行い、2014年12月に報告書を提出しています。その報告によれば、奨励金対象事業所へのアンケート調査で、奨励金交付対象企業の設備投資による姫路市内企業への発注、生産活動に伴う原材料・部品の調達や生産外注が発生し関連企業の生産活動が活発化しているとしています。
そこでお伺いします。1つに、パナソニックの姫路工場のテレビ用液晶パネル生産部門の撤退による、下請け業者等への外注などの影響はないのでしょうか。2つに経済波及効果について、報告書では平成25年の生産活動による間接波及効果額は総額で1,783億円とのことですが、これにパナソニックの工場稼働による効果額も含まれていると考えますが、撤退による今後の影響をどのように想定しているかお示しください。3つに、テレビ用液晶パネル生産部門の撤退による従業員の異動数は100人前後とお聞きしていますが、その雇用について、失業などの心配はないのかお答えください。
3点目に、工場立地促進制度の奨励金は企業誘致に効果はあるのかということです。姫路市は今回のパナソニック誘致により、稼働後それ相当の税収を見込んでいたと報道されています。
企業の進出立地選定の決定要因のアンケート結果を見ても、中小企業は奨励金の交付が受けられることを一番の要因だと答えていますが、大企業はインフラが充実していることを一番に挙げています。
企業誘致のために規制緩和や優遇政策を自治体間で競うようなことは直ちに改め、中小企業振興条例や公契約条例の制定などで中小企業の活動を支援し、地域経済の循環を促すことに効果が試され済みの住宅リフォーム、店舗リニューアル助成など地元中小企業を直接応援する政策に切り替えるべきと考えます。これらを踏まえ工場立地促進制度の奨励金のあり方について、ご見解をお示しください。これで、第1問を終わります。

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